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業界で働く皆様へ

皆さん、いつもご苦労様です。
私は協会の代表の岡崎忠則です。平成16年まで私はハウスクリーニング、ビルクリーニングで働く皆さんと一人の面識もありませんでした。そんな私でしたが、たった一つのできごとが皆さんと私を結びつけました。グリースレベルの汚れが素手作業で落とすことのできる洗剤を研究開発したことです。平成16年その様子を写真に撮り、はがきに印刷し、全国の都道府県すべてに郵送しました。それを見られた皆さんから「常識はずれのことが起きている。どうしてこんなことが起きるのか、説明してほしい」との要望があり、それに応じているうちに全国の皆さんとお会いすることが始まったのです。

社会的地位が低い?

一人二人では気づかなかったことが、お会いする数が10人30人50人と増えるにつけ、気が付くことがありました。それは「そうじ屋」と社会から呼ばれていることを「社会的地位の低さ」と捉え、「なんとかしたい!」という思いを持っている方が多く存在することでした。平成16年9月に三重県のハウスクリーニング共同組合の要望でお話をしに行ったとき、今でも忘れられない出来事ですが、組合の代表さんが「私は、私たちの社会的地位があまりに低いので地位向上のために共同組合を作ったのです。私たちはそうじ屋と呼ばれていますが、それには『お』も『さん』も付きません。『そうじ屋』と呼び捨てされるだけです」とお話しされました。

「そうじ屋」と言えないんです

このことを知ってから「本当かな。考え過ぎじゃないかな」と思いながら各地でお会いする業界の皆さんにこのことを話すと、「その通りだ」と答えます。若手のスタッフの方からは、はっきりと「そうじ屋と呼ばれたくない」という言葉も返ってきました。友達同士で一杯呑んでいて、話が仕事になると自分がハウスクリーニング、ビルクリーニングしていることを隠すといいます。理由は「なんだ、そうじ屋かと思われたくないんだ」ということでした。なぜこんなことになっているのか。私は、そのことがずっと胸に引っかかっていました。それから数か月間、会う人ごとに現場での作業を詳しく教えていただいているうちに、思い当たることがあり、調べてみました。そして、ようやく私なりの答えが出ました。

洗剤は使っていないでしょう

皆さんは「そうじ屋」ではなかった。だのに、「そうじ屋」になっている、それが答えです。
多くの方とお会して分かったこと、それは皆さんの仕事が洗剤を中心に成り立っていることでした。洗剤と言いましたが、実際は洗剤ではありません。全国津々浦々、クリーニングの現場で使われている洗剤、実はこれは洗剤でありません。
クリーニングにどんな洗剤を使っているのですかと尋ねますと、大手清掃会社から昨日今日始めたばかりのおっちゃんでも同じ答えが返ってきます。3つの洗剤がメインです。苛性ソーダ、塩酸、ジアエンという答えです。私は首をかしげました。「それは洗剤じゃないでしょう」と。
苛性ソーダは水酸化ナトリウム、塩酸は塩化水素です。この二つは「毒物および劇物取締法」に指定された劇毒性化学薬品とも言うべきものです。ジアエンは次亜塩素酸ナトリウムといい、「毒物および劇物取締法」に指定はされていませんが、吸気すると肺腫ができます。ゴーグル、手袋なしで取扱うことができませんので、これも劇毒性化学薬品と言っていいレベルではないでしょうか。混ぜるな危険と必ず表記されている液剤です。
皆さんは、化学薬品とも言うべき液剤を使ってクリーニング作業しています。そうすると「現場化学者」あるいは、実際にそのような液剤を使いこなしているという意味では「実用化学者」と呼ばれてもいいのではないのでしょうか。決して「そうじ屋」ではないのです。それが私の答えでした。

なぜ、「そうじ屋」と呼ばれているのでしょうか

クリーニング作業に化学液剤を使いながら化学知識がない。酸、アルカリを扱いながら、それをコントロールする化学的知識を持たない。ただ、「毒物および劇物取締法」に指定された液剤を汚れたものにかけて「こする」だけの技術しか持たない。化学知識はなく、取扱の知識しかない。そういうことしか教わっていない。したがって「手の指紋がなくなって一人前」という誤った業界常識が生まれる。指紋が無くなるということは恥ずかしいことなんですね。化学知識を持たない素人だという証明になる現象です。

皆さんのせいじゃない

このような業界になったのは皆さんの努力が足りなかったということではありません。液剤の化学的知識、特に毒性をコントロールする化学的知識(私はこれをグリーンナイズと言ってます)を皆さんに教える人がいなかった、教える機関がなかったということです。これは、業界において大きな不幸だと言えます。使っている液剤の化学知識のなさが失明する人を生み、火傷をする人を生み、さらには化学物質過敏症になる人を生んでいるのです。私はそういう人に何度も会っています。特にアルカリ液剤が直接目にかかった人、目の本当に近くにかかってもう少しで目にかかったかもしれない人、たくさんの失明になりかけた人に会ってます。

シックハウスの恐れが

化学知識のなさは自分にダメージを与えているだけではなく、お客様にもダメージを与えています。
それはクレーム1に「くさい!」があることです。「くさい!」というのはクリーニングに使った液剤の化学物質が揮発していることが原因です。ひと言でいうと「残留化学物質」が原因ということになります。化学物質は喘息やアトピーなどのアレルギーに引き金になることが医療関係で発表されています。すると、においが残っているということは「目に見える汚れはきれいにしたけれども、目に見えない化学物質で汚してきた」ということになります。化学物質で汚染された家、それは「シックハウス」と呼ばれます。化学知識、グリーンナイズ技術をを持たないまま仕事をやり続けると、知らないが故とはいえシックハウスにして帰る「シックハウスメーカー」と呼ばれる事態になるかも知れません。そうなると「そうじ屋と呼ばれるのは嫌だな」レベルの問題ではありません。これは大変なことです。一日でも早く自分とお客様のために「グリーンナイズ」という化学知識を持っていただきたい。そして、安心安全の中で胸張って自信を持って仕事に打ち込んで欲しいものです。

21世紀の扉が開いた、グリーンジニア誕生

2010年10月9日、日本グリーンハウスクリーニング協会が発足しました。発足式ではグリーンジニアの認定式が行われ、数十名の方がグリーンジニア検定に合格され、認定されました。そうじ屋しか存在しなかったクリーニングの世界に化学的知識を持ったそうじ屋、グリーンジニアが誕生した瞬間でした。グリーンジニアに認定された方は協会のホームページでその名を刻みます。社会にはっきりと化学的知識を持っていることを明らかにします。グリーンジニアとはグリーンテクノロジーを持ったクリーニングエンジニアを意味します。化学技術者です。一人でも多くの方が化学的知識を持って技術進化することを願ってやみません。酸とアルカリをコントロールし、自身の安全はもとより環境を汚さない化学技術「グリーンナイズ」を自分のものとし、さらには「こすり作業ゼロ」「汚水ゼロ・汚水リサイクル」を目指し、技術進化するあなたになって欲しいと切に願います。
日本グリーンハウスクリーニング協会では、向上心ある方のためにクリーニングに必要な化学知識を提供しています。一定の知識と技術を修得した方にはグリーンジニア検定を行い、合格した人には「グリーンジニア」として認定、あなたの名をホームページで公開します。その日からあなたはそうじ屋からグリーンジニアと呼ばれることでしょう。

日本グリーンハウスクリーニング協会
代表 岡崎 忠則